いばった王様②

森のブリコ

2008年03月06日 20:26

「どうして誰もいないんだ?どうして誰も助けにこない?」
       部屋のすみっこにまるまって、
 王様は、何日も何日も ひとりでおこっておりました。
      どうしたらいいかわかりません。
      涙がぼろぼろあふれてきました。
空にはまんまるい月だけが、お城を照らしておりました。
  月の光がさす中で いつしか眠っておりました。

      
      「王さま!・・・王さま!・・・」 
      誰かのやさしい声がします。
あたりは金色に輝いて あたたかい光にみちてます。
声は夜空のお月様から 聞こえてきたのでありました。
   「こんばんわ!わたしも、ひとりぼっちです。
      わたしも今日は、まんまるです。」
 王様はまるまったまま あいさつもしませんでした。

「私はだんだん細くなってだんだんだんだん三日月に・・・
また だんだんとまあるくなって、世界の夜をまわります。
 みんなの夜を照らします。これが、私の仕事です。 
あなたの仕事は王様ですね!」 お月様は、いいました。
     王様は「そうだ!!」といつものように
     おこったようないばった声で いいました。

  「すばらしいですね・・・!!」 お月様は云いました。
  「王様の仕事というのは、大変ですね!!
  みんなが幸せになるように 泣いてる人がないように、
  たったひとりで考えて、みんなに命令するんです。
    ほかの国の王様と、よく話し合って助けい 
          みんなで星を守ってゆく。
         ほんとにすばらしい仕事です。
    今夜は、初めてお話できて本当に光栄でした。」
          
         王様は、なにも答えません。

「私も仕事をがんばりますね!」金色の光は、消えました。


「・・・夢だったのか?・・・」王様は、目をこすりました。
      まんまるの月は、空にありました。
   『王様の仕事』・・・そんな言葉がよみがえります。
      「私は、仕事をしていただろうか?
    よくばりで いばりんぼうで、くいしんぼう。
     だから家来たちもいなくなったのか!」

王様は 少し体を動かして、もう一度月を見上げました。

                           (つづく)




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