いろんな話をしながら。手は動かしていた。
太めの所も、そんなに固くない。
手を前後に動かしているうちに、根元の
直径10センチ超の根元のものも切ることができた。
助かったやあ・・・ いいよ!・・・ 楽しかった。
ねえ・・・この沢山の青い実は、捨てちゃうだ?
捨てちゃうよ~・・・へえ・・・可愛いのに・・・
小メロン漬だってあるんだから、これ何かに出来ない?
というと、何でもやっておくれなさいませ・・・という
いちじくは、大好きな果物。何とかならないわけがない。
いいの?と聞くと。うっちゃるだけだもん、よかったら
持ってって!と自転車のかごから袋を持ってきてくれた。
私は、切った枝からひとつずつもぎとった。
切り口から、白い汁が出てくる。天然のミルク?
30個ほどあった。レシピ調べれば、きっと
何かあるに違いない。わくわくした。
北側の畑のSさんが、車で通りかかって
何、してるの?と聞くので、あのね、いちじくの木を
切ってね、青い実が沢山あるから、何かにならないか?
って思って、もらってるんだよ。というと
ジャムにする人もあるみたい。やってみて!と・・・
がぜんやる気になった。いちじくを入れた袋も
自分ちの庭に放りこんだ。
切株のひとつが、ダックスフンドのような
形をしていたので、すこし高くなっている
他の木の根元に置いてみた。
ほお・・・・ええね! 可愛いね。・・・ ほお・・・ と
Mさんがつぶやいた。可愛いら・・・捨てるなんて
もったいない。 ブリコルールな私は、そう云った。
Mさんの畑には、その作物の境目に砂利なども
沢山置いてある。私はその中にお雛さんの着物
のような形を見つけ、ワンちゃんの隣に置いた。
ちょうど頭にいいような丸いのを選んでのせたら
寂聴さんみたいなお地蔵さんになった。
ほー・・・ええね!Mさんは笑った。
私、海辺育ちだもん、いつもこんなんして、
流れ着いたものや石ころで遊んでただよ。
昔は、森でもそうだよ。山に行けば何でもあって
それで遊べた。楽しかったよね。それから
お手玉や、おはじき、石けりや・・・そう
男の子たちも、メンコやかっちん玉(ビー玉)
駒にヒモぐるぐるして、小さなふたに乗せたり。
それで手先も器用に、体も出来て来たんだよね。
私より五つ後の子は、もう、テレビもあって、
そろばん塾とかも行くようになって、
そういう遊びはあまりしなくなった。
今は、ゲームで、親指しか動かさん。公園で
サッカーとかする子は、まだええね!などと・・・
暖かく、風もなく、おだやかな気分で
小一時間・・・ いやもう少し、そこにいた。
器らしき薄い石もそれぞれの前に置いて、
ドッグフードみたいにお供物みたいに、
それらしきものも置いた。
自分の庭から小さな花の枝もとってきて
お地蔵さんの横に挿した。
・・・ええね! ・・・ええね!
お昼前に家に戻った。
イチジクの青い実のついた枝を、玄関の花の中に挿して
中玄関の花瓶にも入れた。
青いイチジクのレシピを検索したら、やっぱりあった。
洗って、とんがり部分を切って皮のまま茹でこぼした。
今年は、栗の渋皮煮も作ったし、しょうがの佃煮も
作った。イチジクは、それらに比べれば柔らかいし
簡単そうだったから、昼食の用意の間にもう
甘露煮になるよう砂糖とレモン果汁を入れて
煮詰めた。
昼食のあと、鍋を覗くと、もう出来上がっていた。
アツアツを取り出して、小皿に冷ましておいた。
半分に切って食べてみた。うん!いける。
お義母さんと、主人に試食してもらった。
ええね!・・・ようかんみたい ・・・うんうん・・・
小分けして、午後Mさんちに届けた。
もう、出来ただ? ちょうどお友達が来ていて、
日の当たる所でおしゃべりしていたから、
爪楊枝で食べてもらった。
ええね!・・・ ええよ! ・・・ ほんと?ヨカッタ
いちじくは、無花果と書く。花がないのに実となる。
無いわけではない、実の中にある細かいのが花らしい。
苗を買ってきて、一年でもう実がなるとか。
秋には毎年選定し、来年にはその根っこからまた
大きく枝を伸ばし夏から秋には実をつける。
今年は、夏日が11月まであったから
いちじくも長くとれたみたい。来年も切らせてもらおう。
そして、葉っぱも実も飾って、青い実はまた
美味しく頂こう。
いい時間が流れた。 ・・・ 感謝 ・・・