初句会

森のブリコ

2022年01月13日 10:08

初句会が、愛知県の刈谷市で
二年ぶりに開催された。

静岡に来てからも、初句会だけは参加してきた。

数年前に、初句会中に先生は脳梗塞を発症。
そのまま病院へ・・・ 左半身不随になられた。

次の年から先生の車椅子を押しながら
吟行、作句、選句、代筆などお手伝いした。

先生に会えないなんて・・・ 今は、岡崎市の
ケアホームにいらっしゃる先生に、
やっぱりお会いしたくって、新東名から
山道を下りた。

先週末だったので、まだ面会は許された。

残雪の山道越えて師に御慶

初句会窓越しの師に句を所望


はじめ、先生は、「そうか!今日が初句会か・・・」
「じゃあ、一句だけ出してもらうか・・・ これを 」と
書き溜めた句帳を、外に向けてくれた。

空を見よ酒のうまそふな雪が降る

私はそれをノートに書き留めた。
先生は、お酒が好きだった。「」
「先生、時間はありますから、あと二句・・・
三句は出しましょう。ゆっくりでいいですよ・・・」

待った。そして 

冷えますねすでに小雪の窓であり 

と、もう一句・・・ 陽のあたる庭を見つめながら

試歩の杖パンジーの黄にたどりつく  

を作ってくださった。

じゃあ、先生、また来ます! ご苦労さん!と別れた。

入門したのは、先生が50代になったばかりの頃
私は、もう少しで40才というときだった。

俳句ですか?60才位になったらにします。という私に
60才になったら、どんな時でもどんな場所でも
どんなことでも詠めるように、今から始めておいた方が
いいよ!と ・・・ それから10年、毎月30句を
添削して頂いた。静岡に来てからも
投句は、させてもらって来た。

初句会、節分、梅、椿、花見、菜の花、かきつばた
紫陽花、七夕、夏休み、花火、運動会、彼岸花
紅葉、銀杏、クリスマス、餅つき、大晦日 ・・・

忙しい日々に流されてしみじみ感じることもなく
過ぎてしまっていたかもしれない季節のいろいろ。

季語を使う。基本5,7,5。  
その二つの縛りのみ。
フィクション、ノンフィクションどちらも可。
思い出でも、生活や日記代わりでも、
ドラマやニュースで感じたことでも、自由。
もちろん花鳥風月 ・・・ 子育てや介護 など

娘も0才から一緒に参加。沢山の句友、
先輩たちに可愛がっていただいた。
もう27年・・・作ってきた句は、
ブログとは違った意味で日記代わり。

俳句は、言葉のスナップ写真、
一瞬を切り取っているから、17文字を読み返すと
作った頃の色々が、自然と甦る。感謝しかない。

刈谷には、40人くらいの句友が集まっていた。
東京から、福井から ・・・
2年ぶりだから、本当に嬉しかった。

全員、無記名で5句投句。清記用紙に写され
誰の句かは、全くわからなくなる。

全員に清記用紙が右へ右へと回され、
およそ200句の中から、各人が選んだ5句を
選句用紙に記入。それを、披講の方が読み上げる。
自分の句だったら、初めて名乗る。

比較的多く選ばれた俳句は、下記の通り

動き出す町の気配の四日かな  たかこ

手袋に怒りの十指押し込める  長治

我が為に祝ふ人日粥を炊く  涼

試歩の杖パンジーの黄にたどりつく  五灰子

◎白帯の余る長さや寒稽古  省吾

◎大北風や御岳山も寄せて来し  啓介

◎日記買ふ秘密の小部屋めくページ   謙三

◎先生の居ますが如き万年青の実   好松


※◎は、同人特選も ※先生の三句にもそれぞれ



私ので、選んで頂けたのは、上の残雪の句と

師の笑顔胸に一門初句会

コロナが収まり、先生も体調が良ければ
また車椅子を押し、みんなと吟行したいものです。

車椅子押す役目なく初句会


俳句の会だけでなく、どれだけの習い事やサークル
イベントが、コロナで中止となってきたことでしょう。

人と会うこと。共通の趣味。 祭り、年中行事・・・

それらは、誰にとっても生きがいに通じるもの。

オミクロンと変容し、またコロナが拡大している。

誰にとってもかけがえのない、今、この時、この年・・・

早く収まってほしいものです。 


帰宅後、先生に報告のお手紙を書いた。

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